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11月23日(木)コアラの国の神隠し 〜ピーター・ウィアー「ピクニックatハンギング・ロック」(1975年)

よく、「得体の知れない恐怖」などといいます。
しかし、考えてみると。
得体が知れないから怖いのではないか。
得体が知れてしまえば、それは対して怖くないのではないか。
とも思うわけです。

暗い夜道もそうですよね。
次の曲がり角で何が出てくるか、それが予測できないから、怖い。
たとえば、「次の角を曲がると、塗り壁が立ちはだかっているぞ」と予告されていれば、実物を見たときの恐怖は半減する。
……はずなんですけどね。

ということで、今回はオーストラリア映画のご紹介。
「ピクニックatハンギング・ロック」です。
いわゆる、カルト映画の基本、的な位置づけでしょうか。
けっこう独自のコワさを持っている作品です。

ストーリーはわりと単純。
1900年の2月14日、女学校の生徒たちが先生の引率で変わった形の岩山(鬼押し出しみたいな感じでしょうか)にピクニックに行き、そこで、3人の生徒とひとりの先生が行方不明になる、というもの。

何が怖いって、何が起こったのかがまったく分からないところ。
少女たちを探しにいった若者はぶるぶる震えて茫然自失の状態で戻ってきますが、何を見たのか、何も見なかったのか、証言はありません。
行方不明になった少女のひとりは、後日、ぐったりした状態で発見されるものの、こちらも記憶が完全に飛んでしまっている様子。

こんな調子で、真相は不明のまま、行方不明の少女たちは戻らぬまま、終ってしまいます。
ホラーというとおどろおどろしい音楽や薄暗い画面がつきものですが、この映画はちょっと違う。
オーストラリアのさんさんと降り注ぐ太陽の下、ヴィクトリア風の衣装(ややアキバのメイドさんたちのようでもあります)の少女たちが不意に消えうせるありさまを、淡々と描いている。
ただそれだけの映画なのです。

ただそれだけ。
何の理由もなく。
説明もなし。
これほどコワいことも、そうそうない気がするのでした。

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